小春日和
なんとなく嬉しいこと、なんとなく好きだと思うこと、なんとなく幸せだと思うことを中心に日記を書いていければなぁと思います。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

雪のように花が降る:1
近々~とか言ってた癖に大分だってしまいました……。
話は書いてあったのですが……。
えへ★ 笑って見逃して下さい。
l’ErreuRのnymphaealさんの「人形の婚約者」を読んで無性にヒューマンフォームロボットモノが描きたくなったので、今回はヒューマノイドのお話です。まだ全然書きかけ……。
この後がアップされるのか……。
乞うご期待です(え
読んで下さる方は、続きからどうぞー。

タイトル:「雪のように花が降る」



――ガコン
「……これで動くはずだが……」
「本当?」
 動力がはめ込まれた音と、若い男性の声と、小さな子供の声を私は認識した。
 徐々に全身にエネルギーが行き渡るのが分かる。
 ゆっくりと私は重い瞼を上げた。
 段々と世界がハッキリとした形で線を結ぶ。
「わ♪ 目、あけたよ、俊兄!」
 20代そこそこの男性が、真剣な顔で顔で私を見ているのを認識した。
 着物を着ていて、怜悧な顔立ちをしている。聡明そうなその顔は、整った顔立ちと言えた。
 ……次に、その隣に、10才になるかならずかの子供――声では分からなかったけれど、女の子だ――が私を見ているのを認識する。
 やはり着物を着ていて、肩で切りそろえられた、いわゆるおかっぱの髪に、大きな赤い椿の簪を挿している。子供らしい丸みを帯びた頬は笑みであふれている。
 それから私は周りを見渡し、自分が畳の部屋に座っているのを認識する。
 調度品は今では骨董品的価値があるであろう、落ち着いた雰囲気の品々で統一されている。
 部屋に置かれている一枚の鏡を見ると、長い黒髪をした、白い肌襦袢を着た17ぐらいの少女が座った姿勢で、じっとこちらを見ている。……しばらくして、それが自分であることを理解した。
「自分のこと、説明できるか?」
 男性に言われて、私は小さく「はい」と答える。
「私はSNO-87。オースティック社制の和製ヒューマノイドです」
「Sナンバーか……。悪くない」
 私の返答に、男性は満足気に呟いた。
 ヒューマノイド――人間型のアンドロイド、と言うことだ。
 そもそも、アンドロイドという言葉自体、人間型のロボットと言うことなのだが、より人間に近い動きをする、と言うことで区別するためか、このように呼ばれている。
 ここにいると言うことは、この男性は私のマスターとなる人だろうか?
「ねぇ、名前は?! 名前、なんていうの? わたしはね、椿!」
 女の子――椿さんが満面に笑顔を浮かべて私に話しかけてくる。
「名前……認識番号のことですね。SNO-87です」
「えー? 番号とかじゃなくって……」
「何が違うのでしょうか?」
「だから、うんと……」
 上手く説明できず悩んでいるらしい椿さんの頭を、あの男性がポンポンと撫でて押しやる。
「前の持ち主は君のことをなんと呼んでいたんだ?」
「前の持ち主……」
 言われたことがよく分からず、同じ言葉を反芻する。
「そう。俺は君を人から買い取った。……とは言っても、廃棄処分同然だったんだが、修理できる自身があったからな。破格で買い取った。
だから、俺の前に他に持ち主がいただろう。いや、Sナンバーならかなり古いから、何人もいてもおかしくないか……。以前の持ち主達は君をなんと呼んでいた?」
 この人――買い取ったと言うから私のマスターだ――の話では、私は故障していたことになる。久しぶりに動いた所為で、すぐに思い出せないのだろうか……。データを照合してみる。
「………?」
 けれど、何度照合してみても、検索をかけてみても、該当するデータがない。……それどころではない。前の持ち主も、私はどんな風に稼働していたのかも、どうして故障したのかも、何もかもぽっかり抜けているのだ。
「? どうかしたの?」
 私の異常に気がついたのだろう。椿さんが私をのぞき込む。
「……該当されるデータがありません」
「どう言うこと?」
「言葉のままです。マスターのお話では、他に持ち主がいた、と言うことになります。ですが、その間の記録がまったくありません」
「どうして? ねぇ、どうして、俊兄?? ロボットにも記憶喪失があるの?!」
「いや、記憶喪失じゃないだろう……。長い間故障してたし、電源が入っていない状態だったからかもな……。初期化されたのかも知れない」
 それは一理ある話だと思った。……けれど、それは本当?
 理由は分からないけれど、何か違うような、ピースがぴったり収まらないような、そんな小さな違和感を覚える。
 その違和感を説明することはできなさそうなので、私は口を閉ざした。
「まぁ、前の持ち主の情報なんて、必要はないからいいんだが……。とりあえず、呼び名がないと不便だな」
 そう言って、マスターはしばらく指をこめかみに当てるようにして目をつぶった。
「SNO……スノウか……。いや、違うな。……87……ハナ……」
 ブツブツ呟いてそれから、ふと目を開く。
「そうだな、花雪……。そうしよう」
「花雪? この子の名前? かわいい♪ 和風な名前だね」
「花雪……ですか?」
「そう。君の呼び名だ」
 花雪……花雪。口の中で転がしてみてなんて綺麗な言葉だろうと思った。……私の名前。
「ありがとうございます、マスター」
 嬉しくて、お礼を言うと、マスターはちょっと眉間に皺を寄せた。
「その呼び名も何とかならないか? なんだか落ち着かない。……そもそも、和製ヒューマノイドが、何でマスターなんて呼び方をする?」
 何故だろう? 私の初期設定なのだろうか? だとしたら、確かに妙な話だ。
「お気に召さないようでしたら、変更致します。どのようにお呼びすればよろしいですか?」
 尋ねると、マスターは首を傾げる。
「そう言えば、まだ名乗ってもいなかったか。俺は砂原俊和。こっちは妹の椿だ。俺のことは名前で呼ぶといい」
――砂原俊和。
 私のマスターの名前。しっかりと忘れぬよう、何度も反芻する。
「では、俊和さまとお呼びしますね」
「……」
 マスター……俊和さまは眉間にまた皺を寄せる。
「いや……。“さま”はいらない」
「そんな……。マスターを呼び捨てになどできません」
「……。……仕方ないな」
 渋々、俊和さまは頷いた。俊和さまで良い、と言うことだ。
 ホッとして私は息を吐いた。
「椿、姉さんの着物でも着せてやれ。幾らなんでもこの格好のままじゃな」
「うん! 花雪、こっち」
 椿さんが私の手をとって、先を歩く。私も椿さんに手を引かれるままついて行った。
 廊下に出て、綺麗に整えられた日本庭園の横を抜ける。
 ……とても綺麗に整えられたそのお庭は、とても足を降ろしていい場所には見えない。
「お姉ちゃんの着物、きっと花雪に似合うよ♪」
「お姉様がいらっしゃるのですね。どのような方なのですか?」
「うーんとね。名前はね、春美って言うの。
お姉ちゃんはね、本当に、名前のとおりなんだ。
春のように美しいって、みんないってたよ。春のようにあったかくて、やさしいの。
いっつもやさしく笑ってるの」
 本当にお姉様が好きらしい。嬉しそうに笑う。
 そう言う嬉しそうな人の顔を見るのは好きだと思った。
「では、お会いできるのが楽しみです」
「……っ」
 急に私の言葉に椿さんが立ち止まる。さっきまでの喜びに満ちた顔は、花が萎れたように消えていく。
「どうかされましたか? 私……、なにか良くないことを申しましたか?」
 私も立ち止まって、椿さんの前に座って、目線をあわせる。
 人間の困惑は分からない。……私は人間ではないから。
 けれど、分かれたらとは思う。そうすればこんな顔、させずに済むかも知れない。
 そう思ってから、ふと既視感を感じた。
 ……なんだろう? 以前にもこんなことがあった気がする。
「……ちがうの。ゴメンね。……もう、お姉ちゃんには会えないから……」
「どうしてですか?」
「お姉ちゃんは、半年前に亡くなったの……。だから……、だからもう会えない……。私にはもう、家族が俊兄しかいない……」
 涙をポロポロと零しながら話す椿さんを、そっと抱きしめる。
「それでは、私は思い出したくないことを言ってしまったんですね。……ごめんなさい」
 椿さんは首を振って、私に謝罪の必要はないことを示す。
 けれど、思い出したくないことを思い出させたのは間違いない。
 ……この位の年頃の人間は、家族の愛情を必要とするはず。それなのに、椿さんにはその家族がたった一人しかいない。
 初めからいないのではない。もう、一人しかいないのだ。
 それはとても寂しいことなのだろう。なんだか胸の中がぽっかり抜けたような、そんな感じがする。
「……ごめんね、花雪……。泣いちゃ……いけないって……、分かってるのに……。花雪はお姉ちゃんに似てるから……」
「どうして謝るのですか? 私は人間ではありません。……泣かれて迷惑なんて、そんなこと、ないんですよ? 泣きたいだけ泣かれてください」
「……っ、うん……ごめん、ねっ……」
 私の腕の中で嗚咽が聞こえた。
 ……泣くことはいいことだ。そう言うデータがある。
 思いっきり泣いたり、笑ったり。抑えていたら、いつか爆発する。
 私はヒューマノイド。そう言った人間の感情を発散させるためにいるのだ――。

スポンサーサイト
この記事に対するコメント
ドラマーと30代,40代の転職
ドラマーは、ドラムを叩き、音楽のリズムを作る http://fascist4.rcrane4law.com/
【2008/09/04 02:47】 URL | #- [ 編集]

バイク用品
バイク用品を探すなら http://www.bigwatersrealty.com/503190/200305/
【2008/09/22 09:19】 URL | #- [ 編集]

4輪バギー・スノーモービル・水上バイク
4輪バギー・スノーモービル・水上バイクを探すなら http://www.pigottop.com/101114/304564/
【2008/10/05 15:38】 URL | #- [ 編集]

あれ~??
spring patternのリンクが切れてる~(泣)
【2008/11/07 15:33】 URL | konomi #Pjm4BfJM [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://springpattern.blog15.fc2.com/tb.php/92-7326f7dc
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カレンダー

08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30



プロフィール

  • 管理人:春日 蘭



私のサイト

Spring Pattern -春模様-
春日の個人サイトです。良かったら足を運んで下さい。

Atelier*Clover
春日がシナリオを書いているオリジナルゲーム制作サークルサイトです。
のんびりまったり「ウォーターフォールの奇跡」制作中~。

Atelier*Clover制作日誌
↑の、制作ブログです。



カテゴリー



ブログ内検索



最近のコメント



過去ログ



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる





上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。